就学児版田中ビネー知能検査を受け、言語発達を促す方法を教わった話

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こんにちは。吃音あり・言語発達ゆっくりKくんを育てる母です。

今日は、言葉・社会性の発達がゆっくりなK君(5歳)が初めて知能検査を受けた話をします。

検査に対して心配に思う方も多いでしょう。でも、検査を受けることで子どもの現状がわかり、今後どうしたらいいのかについて見えてくることも。

この記事では、K君が実際に検査を受けた様子や問題の一部をご紹介しつつ、言語理解の面を伸ばすために家庭でできることについて私が受けたアドバイスもお伝えします。

田中ビネー知能検査を受けた理由

K君は来年で小学1年生。現在幼稚園で加配の先生についてもらっており、小学校は支援級にするか普通級にするか、迷っています。

夏にある自治体の教育相談(支援級にいきたい人は必ず受ける教育委員会の相談会)までに一度検査をしてみましょうということで、相談の約2ヶ月前に検査をすることになりました。

知能検査といっても様々種類がありますが、今回受けたのは「田中ビネー知能検査Ⅴ」。調べてみると、K君にように就学で迷っている年齢の子どもに特化した検査のようです。

田中ビネー知能検査には、就学に関して特別な配慮が必要であるか否かの診断に特化した「就学児版 田中ビネー知能検査Ⅴ」というバリエーションもあります。この検査の適用年齢は5歳~6歳です。ただし、“就学に関する相談や評価ではこの「就学児版」を使わなければならない”というわけではありません。どの検査を用いるかは、実施機関が判断します。

https://h-navi.jp/column/article/35025627

田中ビネー知能検査でわかることは?WISCとの違いは?

田中ビネー検査では、全体的な知能の程度がわかります。

そもそも知能とはなんでしょう。その定義は専門家の中でも分かれているようです。

ざっくりいうと、知能は大きな一つの統一体と考える人と、個々の知的能力が寄せ集まって構成されたものとする人がいます。

ビネー式の開発者、ビネーさんは前者。よってビネー式検査では全体的な知能指数(IQ)を出します。そのため、個々の能力(言語能力や計算能力)がどの程度なのか詳しく測ることはできません。

これとは反対に、知能とは能力の複合体だという考えのもとに作られた知能検査が、ウェクスラーさんが開発したウェクスラー式知能検査(WISC)。ビネー式では測れない個別の能力(言語・知覚・ワーキングメモリー・処理速度)の程度について詳しく知ることができるようです。

じゃあどっちを受けるべきなの?とわからなくなりますよね。

対象年齢は、ビネー式は2歳〜、WISCは5歳〜

WISCは個別の知能を図るための問題であるため、ビネー式よりも検査時間も長く、問題も難しいといわれています。

未就学児には田中ビネー式知能検査や発達検査、長い検査も受けられる年齢になったらWISCを実施する、というところが多いのではないでしょうか。

※K君も、就学前にWISCを受けることになりました。

田中ビネー知能検査の様子

同じ部屋の少し離れた場所にある椅子に座り、机を挟んで心理士の先生と一対一で行います。

「お母さんはこっちで先生(支援員さん)とお話するから、K君はあっちで先生と遊んでおいで」

そういうと嫌がることなく椅子に座り、検査が終わるまで一度も席を立つことなく(1時間程度)最後まで終えることがでました。

このように、私が実際の検査の様子をつぶさにみたわけではありません。

実施の手順について、詳しく書かれているものを引用させてもらいました。

実施の手順としては、まず、子どもの生活年齢と等しい年齢級の課題から検査を始めていき、一つでもパスできない課題があった場合には年齢級を下げて実施し、全課題をパスできる年齢級の下限を特定します。全課題をパスできた場合には、上の年齢級に進んで、上限を特定します。このような実施手順にしたがって検査を行うことで、検査の結果として算出された精神年齢と、子どもの生活年齢(暦年齢)との比によって「知能指数」、つまり「IQ」という数値が算出されるように作成されています。

http://forum.nise.go.jp/soudan-db/htdocs/index.php?key=murmoad8q-476

田中ビネー知能検査の結果

知能指数(IQ 85)※85からが正常域

生活年齢(実年齢) 5歳8ヶ月

精神年齢 4歳10ヶ月

3歳までの問題は全問正解。つまり、生活年齢の5歳から問題を始めて、一つでもできない問題があれば年齢を下げて実施した結果、下限が3歳ということ。4歳と5歳の問題についてはできる問題とできない問題があったんですね。

予想通り、できない問題は主に言語理解の分野。先ほど述べた通り、ビネー式では全体の知能指数(IQ85)しか出ません。つまり、数の分野のIQが100であるとすれば、たとえ言語分野のIQが70だとしても、平均して85という数字が出ます。

K君は数については年齢相当の問題が解けることが多かったようなので、大体こんな感じなんではなかろうかと思っています。

ここからは、K君が問題にどのように答えたのかを教えてもらった内容をお話します。

できた問題

物の数を数えられる問題(手と目の協応)

一つのものに対して一つの数字を当てはめる問題。数唱(イチ、ニ、サン)と数量(1個、2個、3個)の問題といいます。

視覚的なヒントがある問題

問題例)「先生の手に積み木が1個あります。3個にしてください」

K君は3〜4歳で数字に興味を持ち始めました。数えることもできるので、こういった数の問題は問題なし。

できない問題

視覚的ヒントなしで言葉のみの問題

問題例)「先生は2個食べた。K君は1個食べた。全部で何個食べた?」

数の問題は問題なしといっても、視覚的に何もない状態で言葉だけの理解の面はまだ難しいようです。指折りも教えていなかったので、こういった問題には答えられませんでした。

抽象的な表現の理解を求める問題

問題例)「塩はしょっぱい。砂糖は?」

問題例2)「耳はいつも何をするところ?」

抽象的な表現理解に関して、K君は「砂糖は嫌い」「耳はいつも触る」など、求めている答えを汲み取ること(4歳の課題)ができず、自分の経験の話をしました。

抽象的な表現理解が4歳の課題ということに驚きです。普段の会話の中での抽象表現の理解について不安に思ったことはありませんが、いざ問題にして言われるとわからないんだなあと。

田中ビネー知能検査後に心理士さんがくれたアドバイス

この結果を受けて「一斉指示だけで(言葉だけで)理解して動くのは難しく、言語理解の面でサポートが必要だと思うので、教育委員会には支援級進学を薦める」との言葉をもらいました。

正直、やっぱりそうだよなあ・・という気持ちと、このテストだけをみて言われるのはちょっとなあ・・という気持ちが半々ずつ。


最終的な判断を親がするまでまだ時間があるので、私ができることはやっていきたい。

そこで、就学までに言語発達を促進させるためにも、家庭でできることを3つ教えてもらいました。

1、具体的な経験に基づいて答えを教える

元々「どう思った?」などの質問に対して答えることが難しいK君。自分で考えることが苦手な子だと分かっていたけれど、私が聞き続けていればいつか考えられるようになると思っていました。

でも、これは大きな間違い!自分で考えて答えるということが苦手な子には、具体的な答えを教え、質問に対する答えストックを作ってあげたほうがその子のためになるんです。

  • 「どう思った?」などの質問に対して求める回答が返ってこなかったとき、「よく考えてみて」ではなく、「〜〜と言ったらいいんだよ」や「お母さんは〜〜と思ったよ」など、具体的な答えを伝えてあげる
  • 様々な経験が積み重なり「こういう問いに対してはこう答える」という自分の引き出しを増えていけば、わかることが多くなる

目から鱗でした!どこかにいった時の感想を聞くときも、「K君はどうだった?」といきなり聞くのではなく、お母さんは〜して〜が楽しかったなあ。K君はどうだった?」など、聞き方を工夫することが必要なんですね。

2、本を読んで質問をする

本の読み聞かせをした後、その内容について質問をします。

  • 「登場人物は何をしていたかな?」
  • 「どんなことが起きたかな?」

など、始めは簡単すぎるくらいの問題から始めてみることが大切。

いきなり「このお話は何が言いたかったでしょうか?」なんて高度な問題は出さないように注意しましょう。子どものやる気が削がれます。(私がやってしまったことです)

お話を読んで「どう思った?」という質問は、答えが一つではない分答えるのが難しいので、少し慣れてから聞いたほうがいいようです。

うまく答えられない時も「考えてごらん」ではなく、「お母さんは〜〜と思ったよ」と、伝えてあげるようにします。

3、お手伝いを積極的にしてもらう

言語発達の話からは一旦外れてしまいますが、お手伝いは協調運動の訓練にピッタリなんだそうです。

協調運動とは簡単にいうと、自分の体(手先)を自分の思った通りにイメージし動かせること。

お手伝いでは主に手先を使った微細運動になりますが、手先が器用になればそれに伴って体全体を使う粗大運動も上手になるといわれています。体は繋がっているんですね。

K君は折り紙をきちんと端を揃えて折るのが苦手だったり、縄跳びが上手に跳べなかったり、同年齢と比べると少しボディイメージが未熟なところがあります。

お手伝いは、こうしたボディイメージを持たせるのにピッタリなんです。

日常生活に組み込んでしまえば、忘れることなく自然に取り組めるというものいいですよね。

お手伝いの例
  • 洗濯物を畳んでもらう
  • 料理のお手伝いをしてもらう(洗う、ちぎる、むく、切る、混ぜる、よそう)
  • 食前に自分のお手拭きを絞る
  • ご飯をよそって持っていく



お手伝いが有益なのは分かったけど、言語発達とは直接関係ないよね?

そう思われた方もいるでしょうが、お手伝いの時でも、ちゃんと発達を促す方法があるんです。

意識することは一つ。お手伝いを頼む時に、複数の情報を一度に伝えること。

K君は複数の情報を一度に処理する能力がまだ弱く、初めてのことにすぐに対応することが難しい子です。

通っている運動療育でも、遊びの中で複数指示を処理すること(「あそこの木にタッチしてから、戻ってくる」「鬼から逃げながら、ゴールにボールを投げる」等)を意識してやっていて、少し複雑なルールのあり遊びにも挑戦中です。

なので、家でもお手伝いをお願いする際、「〜してから(しながら)、〜してね」という伝え方をするよう意識しています。

声かけの例
  • 「カバンからお弁当箱を出してシンクにおいて、タオルは洗濯機に入れてね」
  • 「洋服入れから下着とパジャマを持ってきてから、お風呂に入ってね」
  • 「お箸を出した後に、ご飯をよそってね」

お手伝いと組み合わせることで、自然と取り組めるようにしています。

まとめ

田中ビネー知能検査を受けた様子や問題の一部をご紹介し、言語理解を促すために家庭でできる支援方法についてお伝えしました。

支援といっても、何か特別なものを用意し行うのではなく、日常に取り入れた形で行うことが1番。

無理なく、長く続けていきたいと思います。

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