うちの子、手先が不器用‥‥‥
体も動きも少しぎこちない‥‥‥
子ども社会の中では遊びが何より大事。
手先が不器用で細かい折り紙や塗り絵が苦手、縄跳びや飛び箱が苦手だと、友達とうまく遊べなくなってしまうかもしれないと不安になりますよね。
その気持ちよくわかります。
うちの5歳児も手先が不器用で折り紙は苦手、塗り絵は細かいところまで塗れません。
身体の協調運動も苦手で、縄跳びはうまく回せません。
発達障害やグレーゾーンの子の親はこういった悩みを多く持っています。
その子自身も苦手意識をもっていて困っており、その活動に取り組むこと自体に前向きになれない子もいます。
そんな親子にオススメしたいのは、外で体を動かして思いっきり遊ぶこと!
特に、大好きなお父さんお母さんと一緒に遊ぶことで、不器用からくる悩みも解消されていくんですよ。
- 子どもの不器用さ・ぎこちなさが気になる
- 椅子に座ってやる知育・療育は教えるのが苦手
- 外で遊ぶ方が得意
この記事では、アクティブママ・パパにもってこいの運動を紹介します。
簡単にできるものばかりなので、気軽に見てくださいね。
- 身体を動かせないのはボディイメージの未発達が原因
- 手先を器用にしたければ身体を動かそう
- 目的を持って運動しよう
- 親子でたくさんスキンシップをとろう
運動療育はすべての基本
手先を器用にしたいのに、運動‥‥‥?と思われるかもしれません。
また、お箸が上手に持てないならまずはその練習が1番、と考える人も多いでしょう。
でも、努力して末端の技術を身につけたとしても、違う部分の課題が次から次へと出てきてしまうことも。
まずは根本の原因を正すことの方がずっと効率的だと思いませんか?
このように、運動を通して体の使い方を学んでいく療育のことを、運動療育といいます。
【原因】ボディイメージの未熟さ
一般的に発達障害やグレーゾーンの子は、体の使い方が上手ではありません。それに伴い不器用であることも多いです。
これは、自分のボディイメージがよく把握できていないことが原因です。
ボディイメージとは、自分の体の輪郭やサイズ、手足などの曲げ伸ばしの状態、力の入れ具合、体の傾きや姿勢などを実感として認識する感覚のこと。
触覚、固有受容覚(無意識に関節の動かし方や筋肉の使い方を調整している感覚)、平衡感覚(バランス感覚)が脳の中で統合されていくときに発達します。
言い換えると、ボディイメージ=自分の体の全体像を把握し、無意識に自由に動かすことができるという感覚です。
少し分かりづらいので簡単に説明を。
私達は動作をするときにいちいち目で確認しなくても、感覚でわかります。
喋りながらお皿を洗うことができるし、目をつむっても感覚である程度は文字が書けます。
重いものを持つと重たいと感じ、それに見合った力の入れ具合を無意識に調整できます。
当たり前のことと思うかもしれませんが、こういったことが無意識にできるのは、自分のボディイメージを把握しているからなんです。
小さい子が洋服の袖部分に頭を入れようとしてうまく着れなかったり、身体より小さい所に入ろうとしたりするのも、自分の身体の大きさがわかっていない=ボディイメージが未熟だからなんですね。
身体を思い通りに動かすには、ボディイメージの発達が鍵なんです。
【解決策】思いっきり体を動かす
発達障害やグレーゾーンの子が年齢の割に不器用で動きがぎこちないのは、ボディイメージの発達がゆっくりなことが大きな原因だとわかりました。
では、ボディイメージの発達には何が大切なんでしょうか。
まず全身を使って遊ぶことが1番大切。
全身を使って遊ぶことで、触覚・固有受容覚・平衡感覚をバランスよく鍛えることができます。
運動前にストレッチ体操をすると、全身の部位を意識し特に固有受容覚の伝達を促進できるので、お忘れなく。
今から説明する4つのポイントをうまく取り入れつつ親子で一緒に運動を楽しみ、運動療育の効果が実感してください。
オススメの遊び方も一緒に紹介しているので、参考にしてくださいね。
①体を協調させる
協調運動とは、手と手、手と目、手と足などをまとめて一緒に動かす動きのこと。
同時に複数の動きを行うことは、体にも頭にも良いんです。
こうした動きができれば、ボール遊びや縄跳びが上手くなりますよ。
- マネっこ走り
前を走る人の真似をしながら走る - 色鬼
色に限らず、色んなものを走りながら見つけてタッチ - ラダートレーニング
線を踏まないようにしながら、手足で様々な動きをする
マネっこ走りは、最初は手の上げ下ろしなどの簡単な動きから、徐々に複雑な動きをプラスしていきます。
手の上げ下ろし→頭の上で拍手→手を回す→‥‥‥
真似するのを嫌がる子には、動物になりきると乗ってきてくれることが多いですよ。
カニさん・ウサギさん・ゾウさんなど。
横向き走り・後ろ向き走りを入れても面白いです!
ラダートレーニングは、サッカー部員や陸上部員だった方にはおなじみでしょう。
これも手足の協調運動にぴったりなんです。
名前を初めて聞いた、どうやればいいのかわからない方は、こちらのサイトを。私も参考にさせてもらいました。
ジャンケンもだいぶわかるようになったので、今後は片足ジャンプしながら進む「グリコジャンケン」もやりたい!(懐かしい)
②平衡感覚(バランス感覚)を高める
平衡感覚を鍛える遊具は公園にたくさんあります。意識的に取り入れていきましょう。
- ジャングルジム
ジャングルジムの上だけでやる鬼ごっこもオススメ - ブランコ
- 登り棒
肋木を使うのもあり - 木登り
- トランポリン
トランポリン以外は、手や足でものを掴み、上手に力を調整しながら遊ぶもの。
これらは触覚・固有受容覚・平衡感覚の全てを使って遊ぶので、ボディイメージの発達にはぴったりです。
トランポリンでは主に平衡感覚が養えますが、着地を右・左・前・後とずらすことを意識すればコントロール力も身につきます。
うちにもトランポリンがあります!
雨の日にも全身運動ができて、大人も子どももストレス発散になりますよ。
③コントロール能力を高める
自分の体をコントロールする力も、ボディイメージの発達にはとても大切。
まずは一つのゴールに向けて、ものを投げる練習からするといいですよ。
- ボール投げ
ゴールは大小様々の段ボール - 輪投げ
こちらのサイトを参考に手作り - 的当て
ホームセンターで購入
ボール投げの時、うちでは子ども用の踏み台に乗って投げたりしています(足を踏み外さないよう、注意してみていてください)。
おうちでやる時、うちでは忍者ごっこと称してちょっとしたサーキットをつくります。
①リビングに、的当てコーナー・輪投げコーナー・ボール投げコーナーを作る
②それらのコーナーを2本の紐で作った道でつなぐ(細道やジグザグ道)
③紐で円を囲みケンケンをする仕掛け、椅子を置いてジャンプができる仕掛けなどを途中に作る
忍者修行はEテレおかあさんといっしょのお兄さん・お姉さんもやっていますよね!
それぞれのおうちでできることを無理せず取り入れてみてください。
④スキンシップをとる
全身を使ったあそびの中でも、親子が自然とスキンシップがとれるものは意識的に取り入れたいですね。
子どもはお父さん・お母さんとの触れ合いが大好き。
不器用で周りとうまく馴染めなくて困っている子は、素直に人に甘えることが苦手で自己肯定感が低い子も多いです。
そんな時、いつでも自分を受け止めて抱きしめてくれる人がいることで、子どもの精神状態も安定するんです。
- 人間飛び箱
- 飛行機や電車ごっこ
- ジャンプして抱きつく
- お相撲
お相撲は、片足立ちの押し相撲でバランス感覚を養うことをプラスできますよ。
私も子どもとうまく関係が築けていないと悩んでいましたが、運動で触れ合いをする時間を増やすと、だんだんと素直に甘えてきてくれることも多くなりました。
ここからは少しダイナミックな遊びです。
普段やらないような動きは全身の感覚を刺激するので、休日にお父さんも一緒にやるのも良いですね。
- 手押し車
- 逆立ち
- ツイスターゲーム
【補足】運動は脳にも良い効果が
遊びによってボディコントロールの発達を促す方法をご紹介してきました。
最近の脳科学の研究では、運動遊びは脳にも絶大な効果があることもわかっています。
運動をすると脳細胞が増えることが証明されたのです。集中力が高まり、学習能力や記憶力も向上します。
運動すると脳内で神経伝達物質や成長因子がつくられ、感情をよりコントロールでき、人生に前向きになれます。
清水貴子(2016)『笑顔がはじけるスパーク運動療育』小学館
さらに発達に偏りがある子にも大きな効果があるそう。
運動をすると新しい回路がたくさんできます。すると、回路が一部違うために目立っていた脳の特性が目立たなくなり、苦手だったことも、別の新しい神経回路が補って、ちょっと違ったやり方ができるようになるのです。
清水貴子(2016)『笑顔がはじけるスパーク運動療育』小学館
『笑顔がはじけるスパーク運動療育』の著書である清水貴子さんは、有酸素運動をできれば屋外でやることを強くお勧めしていました。
ボデイイメージを作りながら、脳の新しい神経回路も作り、発達凸凹の困りごとをなくしていきたいですね
もしお子さんが外で遊びたがらない・遊具に行きたがらない時は、無理することはありません。
外に散歩に出て、五感で自然を感じることだけでも大切です。
小さな虫や花を見つけて、しゃがんで、追いかけて、触って、掴んで、まずはそれだけでも十分。
そこから子どもの興味を広げていってあげましょう。
遊んだあとの振り返りも大切
脳の発達に偏りのある子は「ワーキングメモリ」の容量が小さいといわれています。
ワーキングメモリは、情報を一時的に記憶しておく能力のことです。この記憶した情報を処理し、利用するのもワーキングメモリの能力になります。ワーキングメモリは勉強や仕事、日常での会話、家庭内でのお手伝いなどあらゆることに関わっており、日常生活を営むのに必須の能力といえます。
ぜんち共済株式会社「 ワーキングメモリとは?効果的な勉強方法や生活支援を紹介」https://www.z-kyosai.com/column/3044.html
屋外で運動をした後に、今日やったことやどうだったのかをふりかることはこのワーキングメモリのトレーニングになるんです。
自分が体をつかって経験したことだから、順を追って話すこともできるんですね。
運動後は脳が冴えているので、振り返りにもってこいのタイミング。
うちの子は正しい文章で人に伝えることが苦手ですが、運動後は普段より饒舌なことが多いです。
親子で楽しく取り組もう
色々と紹介しましたが、取り入れやすいものから少しずつやっていってくださいね。
まずは普通に遊んでいる中で、ふと思い出して「これやってみようよ」と声かけるのだけでも十分。
親子で一緒に体を動かして、楽しくトレーニングしていきましょう。
- 木村順(2010)『これでわかる「気になる子」の育て方』成美堂出版
- 清水貴子(2016)『笑顔がはじけるスパーク運動療育』小学館
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